元アミックスの賃貸管理部門責任者で、管理業務改革とデジタル 化を推進、2022年7月に、賃貸不動産管理業のあり方をPMの観点から研究し実践するという目的を掲げ、 株式会社PMラボを設立された深澤成嘉さんと、当社代表近藤が「管理業務を変える」をテーマにこれからの賃貸管理に重要ないくつかのトピックについてお話しするシリーズ第二弾! 今回のテーマは「定期報告」です。
※深澤さんと近藤のプロフィール詳細はこちらからご覧ください。
定期報告3つのポイント
近藤:
2021年に施行された賃貸住宅管理業法で義務付けられた、定期報告に関して、お悩みの管理会社様が多いんですよね。
何をどう報告したらいいのか、せっかく定期報告をするなら、いかに資産価値向上させる提案のきっかけにするか、その辺りのポイントを今日はお伺いしたいです。
深澤:
賃貸住宅管理業法20条における定期報告のポイントを簡単に言えば
・入出金管理
・建物メンテナンス
・入居者の苦情
に関する報告を最低年に1回実施する
ということです。
従来管理会社が行っている、
・入居の状況
・解約状況
・家賃回収の状況
などのリーシング状況は、なぜか今回は対象になっていないんですね。
入出金に関しては、既に報告できているところが大半ですし、苦情等についても、報告の必要性の薄い細かな苦情はともかく、必要に応じてきちんと報告されていると思います。
ところが、建物メンテナンスに関しては、まだあまり積極的に取り組んでいない管理会社も多いと思います。
建物管理は、建物を建てた会社がメンテナンス契約をしていたり、オーナー自ら清掃会社と契約したりしているケースが多かったんですよね。
ですから、管理会社にとって、今回の業法は前向きに考えると、今まで分離していた建物管理ビジネスが自分たちのものになるチャンスなんですよ。
定期報告って実際どう報告したらいいの?
近藤:
そうですね、むしろ「不動産会社のビジネス領域を広げよう」と、前向きにとらえる話だと思います。
そうはいっても、具体的にどう定期報告をしたらいいか、その辺りについて皆さんお悩みだと聞きました。
定期報告はオーナーに対する報告ですよね。点検、清掃、様々な業者からの、Fax、メール、媒体も書式もバラバラの報告をどうオーナー様への報告に取りまとめていけばよいのでしょうか。
深澤:
清掃業務は作業するのは近所の主婦だったり、必ずしもプロではない場合もあるので、管理会社への報告書がそのままオーナーへの報告書として出せない場合も多いです。
とはいえ業者から来た報告書を都度オーナー向けに作り直すのは手間のかかる作業でもあります。であれば報告書をもって外壁改修など、BM提案につなげていくことで収益化を考えるなり、ビジネスチャンスとしてとらえないともったいないですし、むしろ前向きにとらえたほうが良いと思います。
近藤 :
定期報告からしっかりとした提案をできる環境整備と体制づくりが必要ですよね。
こうしたお悩みを解決するべく、アセットコミュニケーションズでは、BMクラウドに『定期報告』機能を追加しました。
オーナーに紐づく形で保有物件ごとに、定期報告のサマリーと詳細が確認できる機能です。
BMクラウドを通じて定期清掃などの現場作業を依頼している場合、自動的に清掃点検などの報告書がオーナー様宛に更新されます。
デフォルトでオーナー向け報告書の形式になっているので、業者は必要事項をうめていくだけで、簡単にオーナー向け報告書ができあがります。
クレーム報告を行う機能があるため苦情対応も可能です。
将来的にはコールセンターと連携して自動的に受電記録がここに入っていく予定です。
入出金に関しては、ご利用の保証会社等とデータ連携して自動的に入れることが可能で、PDFアップロードにも対応しています。
これらの機能を活用していただくことで、定期報告に求められている3つのポイントを自動的におさえられることになります。
この自動化された定期報告をもとに、棟ごとの修繕計画提案などにつなげていってほしい、と思っています。
定期報告から修繕提案へ
深澤:
こういったデータベースで定期報告が管理できたら、本当に管理会社の社員も雑務から解放されて、収益化につながる提案がやりやすくなりますよね。
日管協も2023年度に「賃貸住宅メンテナンス主任者」の資格を創設すると発表しました。こうした資格も活用して、ぜひ前向きにとらえて、定期報告から修繕提案につなげられるような体制づくりをしていってほしいです。